私は水の中にいた

顔だけを水面に浮かべ

私は水の中にいた





* 彷徨い続ける想いの中に 〜  〜 *





此処は何処だろう?
見覚えはあった。
でも、はっきりとはしていなくて。


ただ分かっていることは私が泳いでいるということ。
それから、背負うように何かを運んでいるということ。



ただそれだけ。



そして、その荷物はとても重かった。
苦痛であったのではなく、辛かった訳でも無い。
欝陶しかった。
その上それは私より軽く浮いていた。



ただそれだけなのに。



・・・





川、だろうか?


下流は湖へと繋がって…。
そんな漠然とした記憶。


そこで溺れていた私。


今上流へと向かう私は、溺れていた私を覚えているだろうか?



波は無い。
流れもなく。


私はただ荷物を運ぶだけ。





橋の上から見下ろす視線。
誰かが見ている。
でも、誰なのかは気になったが見上げる気は全くなかった。
見たくなかった。



怖い。
私が人を見る事。
こんな私を見られる事。



すぐ近くに岸が見える。
私は泳ぎ続ける。
陸に上がろうとはせずに。


水の中が心地いい。


この先に何があるの?


知りたい…気がする。



でも駄目。
一旦陸に上がらなきゃ。
でないと川上に行けない。


でも見てるだけ。
陸に上がる気配はない。





波打ち際を歩いていると、打ってくる波に足を取られそうになる。
その瞬間が怖い。


…と同時に沸き起こる快楽。


深い深い渓谷に身を投じるような。
掌から何かを吸い取られるような。



…そう、快楽。





私は溺れたいの?
それとも、沈みたいの?


…分からない。


でも駄目。
消えることさえ許されない。
私を見ている人がいるから。
私は見られているから。







駄目。


駄目。


駄目!





たいした事じゃないわ。
だって荷物を運ぶだけ。
それだけ。
このままでいい。





…本当に?





私は知らない、水面下。
水面下の私。

でもいいの。
水の中が心地いいもの。



此処は何処?
貴方は誰?
何処へ行くの?
何処に行きたいの?
何をしたい?
荷物は何?






答えは全て水の中。
濁った水の中。
暗い暗い水の中。



…だけど私は答えを知らない。
知りたくない。





END





SEO [PR]  紅葉めぐり 転職支援 わけあり商品 無料レンタルサーバー ブログ SEO