いほどしすぎた










男がその少女と出逢ったのは、ちょうど10になる誕生日だった。
少女はまだ4つになったばかりで、初対面の男を躊躇いもなく真っ直ぐに見つめ微笑いかけてきた。
すべてを見透かす紫電の瞳も、鮮血に染まったかの紅い髪も、白磁の肌も、少女の何もかもが男を魅了した。
その時の衝動を、恐らくは生涯忘れる事は無いだろう。
少女との出逢いは、必然だったのだ。
彼女になら自分の総てを捧げても良いと。
柄にもなく、男は彼女に出逢えた事を神に感謝した。

………少女を連れて来た父の言葉さえなければ。


「……お前の、妹だ」


なんてベタな展開。
そして、なんて残酷な。

始めは男も信じなかった。
少女の放つ色彩に対し、男も父も漆黒の髪と瞳を持っていたから。

だが、少女と男は紛れもなく腹違いの兄妹だった。


それでもなお、男は少女を、愛して、いた。


結局は運命のあの日まで少女にその想いを伝えた事は無かったが、それでも。
少女は純粋に男を『兄』と慕ってくれた。
男が思い描いたものとは異なってはいたが、そこには絶対的な信頼が存在していた。

男にとって少女は、愛しすぎた『妹』だった。



今や『妹』は『人形』になってしまったが、それでも。

男は彼女を、愛して、いる。




  END






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加筆修正しようかなーと思いつつ、これはこれで良い気がしたのでそのまま。
人形のビジュアルははっきりと決まっているので、何時かイラストで描きたいです。

2005.06.19

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